2009年11月09日

内部被曝の脅威

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内部被曝の危険性がしだいに明らかになり、「内部被曝の脅威」という本が2005年に発行されました。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480062413/

著者である肥田氏は広島で自ら被曝し、長年にわたって被曝者の臨床を続けてこられた医師です。
鎌仲氏は、ドキュメンタリー作家で、映画「ヒバクシャ」は様々な賞を受賞しました。
鎌仲氏はイラクの子供たちに白血病や癌が増えていることを取材した後、肥田医師に出会い、その原因が内部被曝にあることを示唆され、原爆が落ちなくても被曝者が生まれることを知りました。

イラクでは1991年の湾岸戦争で劣化ウラン弾が使われました。天然ウランから濃縮ウランを作る過程で出てくるウラン238が劣化ウランです。

劣化ウラン弾は戦車の装甲にぶつかった衝撃と摩擦熱で3000-4000℃の高熱を出し、戦車内に侵入すると激しく燃えます。対戦車攻撃に有効な武器ですが、燃焼時に金属がエアロゾル、気体となって拡散して人体に取り込まれます。

内部被曝とは、放射線物質を体内にとりこみ、長時間にわたって身体の内部から放射線を浴びることです。

放射線のうち、ガンマ線は貫通力が強く、体外からの被曝の主役です。アルファ線は0.1mmしか飛ばず、貫通力は弱く、ベータ線の飛距離は約1cm、貫通力はガンマ線とアルファ線の中間です。

微量の放射性物質でも体内に取り込まれ組織に沈着してアルファ線ベータ線を長時間放射し続けたら、DNAを損傷させ続けることになります。
体内にあるアルファ線ベータ線は測定するのが困難であるために、長く問題視されてきませんでした。

肥田医師は原爆より後に市内に入っただけで原爆病を発病し死亡した症例、また被曝後長年経過しても被曝者を苦しめる後遺症「原爆ぶらぶら病」(抵抗力が弱く疲れやすいといった自覚症状を持つが検査では異常がない)を経験して、外部被曝以外の問題に気付いていました。

アメリカ人医師も、核実験に動員された米兵の診療などから、核実験、原発事故などで、空中、水中に放出された低線量放射線による内部被曝の被害の危険性、有害性に気付きました。
いったん汚染された大地と水を浄化する技術はいまだ開発されておらず、住民は影響を受け続けています。

1950年から89年の40年間にアメリカ人女性(白人)の乳癌死亡者が2倍になったことが発表され、死亡者が増加している群と原子炉の距離に相関関係があることが発見されました。
増加したのは原子炉から100マイル以内にある群だったのですが、日本では52基ある原発を中心にして100マイル以内の円に日本全土がすっぽりと入ります。

内部被曝の人体に与える影響がはっきりと分かっていたら、原爆も、核弾頭の製造競争が繰り広げられた東西冷戦も、そして平和利用といわれている原子力発電も存在しなかったかもしれない、と鎌仲氏は言います。

原子力エネルギーに替わる自然エネルギーの利用技術の開発が大切であること、劣化ウランを利用した兵器の使用を直ちに廃絶することの重要性を学びました。

posted by たびのくま at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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