2009年08月30日

ゆっくりていねいにつながりたい

午後の光1.JPG

今回の記事は、森山公夫著「統合失調症」ちくま新書、2002からの引用です。

人間の感覚は、特殊感覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平行感覚)、
体性感覚(広義の触覚、運動感覚)、内臓感覚(臓器感覚、内臓痛覚)
に分けられる。
これらが統合的に機能し共通感覚と呼ばれるものを形作っている。
各人の属している共同体で「リズムとメロディ」の共有をくりかえし
経験しながら育つときに、人の自然な共通感覚は共有され、
常識が成立する。
常識のゆらぎは当然このリズムのゆらぎであり、
「いま・ここ」に生きることのゆらぎであり、
緊張と弛緩をめぐる24時間リズムのゆらぎでもある。

共同体動物として生きる人間は、
どこか反世俗の屈折をもたざるをえず、
その鬱屈は多かれ少なかれ狂狷として人に内在し、
精神的危機においては爆発を呼ぶことになる。
狂狷の狷とは世俗に背をむけ頑固に自分をつらぬくことで、
狂とは同じく世俗に背をむけて熱狂的に活動することである。
この狂狷の二面性にこそ人生最大の秘密がひそみ、
それは一方で人生のさまざまな面での創造性にかかわり、
他方では狂気という人生最大の悲劇にかかわる。

狂狷から狂気発病に至る鍵は「孤独」である。
孤独は人生に不可欠で、
個体をして個人に覚醒させる一切価値の源泉である。
しかし孤独が窮まるとき、人は狂い、一切価値の崩壊が起きる。
社会に立っても、家庭にあっても孤独である状態は孤独のきわみで
「絶対的孤立」である。社会ないし家庭のどちらか一方のみでの
孤立である「相対的孤立」はほとんどの人々が経験するが、
絶対的孤立まで至ることは少なく、この恐怖の中で人は狂気に至る。
不安と緊張、不眠により24時間リズムが崩壊する。
絶対的孤立と24時間リズムの崩壊は相補的に進行し、
精神病の発病が始まる。
狂気は、孤立という人間の苦悩の極北的姿である。

宇宙系はリズム振動の場であり、銀河系宇宙の中の特殊系としての
生命系(有機体系)もまた、「リズムと共振性」を基本原理としている。
生命系に作用する共振性を共鳴性と呼ぶと、
人間にとって身体病をふくめた病気はすべて、
「リズムと共鳴性」の障害である。
医術(癒し)とは「自然治癒力」の援助であり、
「リズムと共鳴性」の回復への援助である。
いわゆる身体疾患と精神疾患とはその現れ方が異なり、
身体病においては「共鳴性」が、
精神病においては「共感性」が侵害されているといえる。
「リズムと共感性」の障害は、
不安・憂うつや陶酔・昂揚などの「気分」の障害をもたらす。
気分は生命と自然との「共感」であり、
気分失調(障害)があらゆる精神疾患の根底に存在する。

(引用以上)
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多様な価値観の情報があふれている現在、常識のゆらぎが生じ、
大人も子供も、社会(学校)や家庭で孤立を感じることが多くなっています。
共感をもてる人と関わること、
内在する狂狷のもつ創造性を表現すること、
身体と心の声を聴いて「いま・ここ」に生きること、
そのようなしなやかな身体と心を持つことが
いっそう大切になっていると思います。

posted by たびのくま at 18:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、温泉人(おふろうど)です。

もともと備わった自然に生きるバランス感覚が、特定の機能や成果を求め続ける人間社会に生きて、保てなくなる時あります。

そのときは、つとめてゆっくり湯煙の揺らぎの中の温泉に浸かるとか、思いがけない出逢いを楽しむ道草など、そうしたくなる理由が、このたびのブログ内容で良くわかります。

やっぱり、“どこまでも温泉人(おふろうど)”が良いんですね♪その意味を、確信しましたから・・・。
Posted by 温泉人(おふろうど) at 2009年08月31日 05:56
ありがとうございます。

おふろうどさんは、いろいろな所に行って、
自由な感じで良いですね。
Posted by たびのくま at 2009年08月31日 23:08
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