2014年09月23日

漢方のお話し24(先天の気)

東洋医学では、人には「先天(せんてん)の気」と「後天(こうてん)の気」があると考えられています。
「先天の気」は、その人が生まれながらに持っているエネルギーのことで「腎(じん)」に蓄えられています。
自然の成り行きとして、年齢を経るごとに減少していきます。
生活習慣の乱れやストレスでもすり減ってしまいます。
「後天の気」は東洋医学の「脾(ひ)」と関係が深く、「脾」は西洋医学でいうと、胃腸などの消化器系を意味します。
後天の気は、暮らしの中で補充できるものです。

「先天の気」の衰えを補う漢方のお話です。

八味地黄丸(ハチミジオウガン)
一般的に高齢の人に用いることが多く、体力が低下し、顔色もすぐれず、冷えをともなうときに使われます。
足腰の痛みやしびれ、腎機能低下にともなう夜間頻尿、性機能低下、乾燥肌のカユミや湿疹、前立腺肥大症や糖尿病に使われます。

8種類の生薬からなります。
地黄:貧血症状を改善し元気をつける作用
山茱萸、山薬:滋養強壮作用があり、地黄の働きを高める
茯苓、沢瀉:水分循環をよくする生薬
牡丹皮:を治す生薬で、血行障害を改善し血のめぐりをよくする
桂皮、附子:体をあたため痛みをとる
 
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
八味地黄丸に牛膝と車前子を加えたものです。
体力をつけ、また、水分の循環をよくする作用があります。
足腰や泌尿生殖器など下半身の衰えに使われます。

牛膝、車前子:水分の循環をよくし無駄な水分を取り去ります。

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漢方のお話し23(女性の体力、気力の改善)

女性の体力、気力を改善する目的で使われる漢方薬のお話です。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
一般的に女性に用いることが多く、色白で冷え症、やせ型で体力のあまりない人に向く漢方薬です。
体の疲れ、冷え性、貧血症状、生理不順、生理痛、生理前後の不快症状、不妊症、むくみ、頭痛、めまい、肩こり、更年期障害などに広く使われます。

6種類の生薬からなります。
当帰と川芎:血行をよくして貧血症状を改善し、体をあたためる作用
芍薬:生理痛や肩こりなどの痛みをやわらげる
蒼朮、沢瀉、茯苓:漢方の代表的な利尿薬で、むくみ症状を改善します。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)
疲れやすく、イライラや不安感をともなうときに向きます。
手足の冷え、のぼせ、生理不順、生理痛、頭痛、肩こり、倦怠感、不眠、神経症、更年期障害や自律神経失調、月経前緊張症などに使われます。

10種類の生薬からなります。
柴胡:消炎作用、鎮静作用
当帰、薄荷:血流を良くして体をあたためる
山梔子:胸苦しさを緩和する
牡丹皮:瘀血を取り除く。ほてりを改善する。
芍薬:痛みをやわらげる
蒼朮、茯苓:無駄な水分を取り除く
生姜:体を温め、新陳代謝機能を高める作用
甘草:緩和作用

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
血行をよくして熱のバランスを整えることで、のぼせや冷えを改善し、子宮などの炎症をしずめます。
生理不順や生理痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせ、足の冷え、更年期障害に適します。
そのほか、子宮内膜症や筋腫、ニキビやシミ、しもやけ、痔、打ち身、肝臓病などにも用いられます。

5種類の生薬からなります。
桂枝(桂皮):健胃作用、発散作用
芍薬:痛みをとる
茯苓:気分を落ち着け、余分な水分を取り除く
桃仁、牡丹皮:血液循環をよくする。瘀血を取り除く。


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2014年09月17日

漢方のお話し22(瘀血(おけつ))

漢方では、血行障害や鬱血を瘀血(おけつ)という概念でとらえます。
血の流れが悪くなることによって血が新鮮さを失い、それによって不定愁訴や疾病が起きている状態です。
瘀血を改善する漢方薬のお話です。

大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)
血液循環をよくするほか、熱や炎症をとり、便通をつける作用があります。
月経不順、月経困難、便秘、痔疾に使われます。
構成生薬は5種類です。
大黄、芒硝:緩下薬で、便通をつけたり、熱や炎症をしずめる働きをします。
牡丹皮と桃仁:血行をよくする作用
冬瓜子:炎症をとり、排膿を助ける働きをします。

通導散(ツウドウサン)
「通導」という名前には、便通をつけるとともに、血液や気の通りをよくするという意味が含まれます。
女性の生理不順、重い生理、更年期障害。腰痛、便秘、打ち身、あるいは高血圧にともなう頭重感や肩こり・めまいなどに適応します。
構成生薬は10種類です。
大黄、芒硝:便通をつけたり、熱や炎症をしずめる働きをします。
厚朴、枳実:みぞおちやお腹の張りをおさえ、また気分を落ち着ける作用
当帰、紅花、蘇木:血行を良くして「瘀血」を改善する働きをします。
陳皮:健胃、発汗作用
木通:消炎、利尿作用
甘草:緩和作用

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
瘀血に対する代表的な実証向けの漢方薬です。
桃核こと桃仁は、桃の種子の部分です。
承気には、気をめぐらせ元気をつけという意味合いがあります。
月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)に使われます。
構成生薬は5種類です。
大黄と芒硝:便通をつけたり、熱や炎症をしずめる働きをします。
桃仁:血行をよくする作用
桂皮:のぼせやイライラを発散する作用
甘草:緩和作用

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
生理不順や生理痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせ、足の冷えなどに適応します。
また、そのような諸症状をともなう更年期障害にも適します。
そのほか、子宮内膜症や筋腫、ニキビやシミ、しもやけ、痔、打ち身、肝臓病などにも用いられます。
構成生薬は5種類です。
桂枝(桂皮):健胃作用、発散作用
芍薬:痛みをとる。
茯苓:気分を落ち着け、余分な水分を取り除く
桃仁、牡丹皮:血液循環をよくする

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2014年09月15日

漢方のお話し21(便秘)

漢方の下剤のお話しです。

大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
腸の運動を活発にします
構成は、大黄と甘草です。
大黄は腸の運動を高めます。

調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)
大黄と芒硝、甘草で構成されています。
芒硝は天然の塩類(硫酸ナトリウムなどから成る)で、便を軟化させ排便しやすくします。

大承気湯(ダイジョウキトウ)
便通をつけるとともに、不安やイライラをやわらげ気分を落ち着けます。
大黄と芒硝のほか、
腹部の張りをおさえ気分を落ち着けるのに役立つ厚朴と枳実から成ります。

麻子仁丸(マシニンガン)
便をやわらかくして、便通をよくします。
とくに高齢の人の乾燥したコロコロ便に適します。
水分を保持する麻子仁と杏仁、
腹部のつかえを下す厚朴や枳実、
腹痛をやわらげる芍薬から成ります。


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2014年09月12日

漢方のお話し20(皮膚)

皮膚に効く漢方を続けます。

清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
顔の熱や炎症をとり、病因を発散させる働きがあります。
顔の皮膚病、とくにニキビの治療に適します。


十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
皮膚の赤みやカユミを発散し、腫れや化膿をおさえます。
蕁麻疹やアレルギー症状にも効きます。


治頭瘡一方(チヅソウイッポウ)
ジュクジュク、ただれ、かさぶた、カユミなどをやわらげ、湿疹の治りをよくします。
分泌物の多い湿疹、とくに子供の顔や頭にできるものに適します。


消風散(ショウフウサン)
皮膚の赤みやカユミを発散し、分泌物をおさえます。
熱感やカユミが強く、じゅくじゅくした湿疹に適します。
蝉退(ゼンタイ)という生薬が入っていますが、これはセミの抜け殻です。

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2014年09月11日

漢方のお話し19(皮膚炎、慢性鼻炎、瀉剤2)

身体の状態を自然に保つ自律神経系は緊張状態にする交感神経と弛緩状態にする副交感神経のバランスで成り立っています。緊張状態が続いていると交感神経の働きが強くなっています。
漢方の考え方では心の働きと自律神経の働きの中心を「肝」と考えています。緊張状態が続く場合、肝の機能が損傷して「気」が鬱帯して熱化すると考えます。この状態が鬱熱です。
この熱はさまざまな症状につながります。
17回でお話した黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)はこの熱を下げることで、痒み、イライラ、不眠などに効きます。

荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)

黄連解毒湯と血虚を改善する四物湯(シモツトウ)など、熱や炎症をさますもの、病因を発散させるもの、痰や膿を排出するもの、あるいは血流をよくするものを含んでいます。
蓄膿症や慢性鼻炎、痰がからむ扁桃炎、あるいは、炎症をともなうニキビや湿疹などに効果があります。


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2014年09月07日

漢方のお話し18(腰痛、五十肩)

今回は痛みに効く漢方のうちの二つのお話です。

疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)

血液循環・水分代謝を活発にして痛みを発散します。
関節痛や神経痛、腰痛や筋肉痛などで、足腰が冷えて痛むときに適します。

当帰(トウキ)
川芎(センキュウ)
芍薬(シャクヤク)
地黄(ジオウ)
蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
桃仁(トウニン)
牛膝(ゴシツ)
陳皮(チンピ)
防己(ボウイ)
防風(ボウフウ)
竜胆(リュウタン)
白芷(ビャクシ)
生姜(ショウキョウ)
威霊仙(イレイセン)
羌活(キョウカツ)
甘草(カンゾウ)


二朮湯(ニジュツトウ)

腕や肩の痛み、五十肩の痛みをやわらげるのに用います。
二朮湯の名前の由来は、蒼朮と白朮の二種類の生薬が入っていることです。
水分停滞を改善する生薬、痛みを和らげる生薬が含まれています。

蒼朮(ソウジュツ)
白朮(ビャクジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
黄芩(オウゴン)
半夏(ハンゲ)
香附子(コウブシ)
陳皮(チンピ)
威霊仙(イレイセン)
天南星(テンナンショウ)
羌活(キョウカツ)
生姜(ショウキョウ)
甘草(カンゾウ)
 

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2014年09月04日

漢方のお話し17(瀉剤1)

前回は身体や気力を使いすぎて疲労した場合に、補うための「捕剤」のひとつをご紹介しました。
今回は身体の中に要らない熱などが溜まった場合に用いられる「瀉剤」を少しご紹介します。

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)

黄連解毒湯の構成生薬は下記の4種類で、いずれも熱や炎症を鎮める寒性の生薬です。
不眠症や胃炎、二日酔い、めまい、動悸、高血圧、神経症、蕁麻疹などに効果があります。

黄連(オウレン)
黄芩(オウゴン)
黄柏(オウバク)
山梔子(サンシシ)


三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)

身体の熱や炎症をやわらげ、機能の亢進を鎮める効能を持っています。
のぼせやほてり、イライラ感や不安感、不眠、便秘、鼻血など出血、あるいは高血圧にともなう頭重感や肩こり・めまい感などに使われます。

黄連(オウレン)
黄芩(オウゴン)
大黄(ダイオウ)


温清飲(ウンセイイン)

温清飲には、血流を良くして体をあたためるもの、水分を保持するもの、熱や炎症をさます生薬が配合されています。
温性の理血薬である四物湯(シモツトウ)と、清熱作用のある黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)を合わせた漢方薬です。
温性と清熱の両作用から温清飲という名前がついています。体全体を冷やすことなく、“のぼせ”などかたよった熱をさまします。

四物湯(シモツトウ)

当帰(トウキ)
川芎(センキュウ)
芍薬(シャクヤク)
地黄(ジオウ)

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2014年09月03日

漢方のお話し16(疲労倦怠感)

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

12回から15回まで、心に効く漢方の説明が続きましたが、こちらは全身の疲労倦怠感に効く漢方です。
体力低下して元気がなく、食欲不振、動悸、息切れなど、慢性の疲労倦怠感がある場合にも使われますが、頓服としても効果があります。
免疫機能を改善する作用もあります。

posted by たびのくま at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然の力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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